事実整理
近年、新卒採用における選考プロセスのデジタル化が進む中で、学生および企業の双方でさまざまな課題や困惑が生じています。公表された調査や報道から確認できる主な事実は以下の通りです。
- 選考方法による辞退の実態:Business Insider Japanの報道によると、54%の就活生が「選考方法」を理由に企業の選考辞退を検討または実行している実態が明らかになりました。特にAI面接や動画選考といった新しい選考手法の導入が、学生の応募行動に影響を与えています。
- 企業側の生成AI対応への疲弊:日経BOOKプラスのレポートでは、新卒採用の現場において「生成AIの書いた作文」を読まされる採用担当者の疲弊が取り上げられています。応募書類の作成に生成AIを利用する学生が増加したことで、選考における確認コストや評価の難易度が上昇しています。
- 採用動向調査の報告:Exciteエキサイトに掲載された「【就活会議×HR総研】2027年新卒学生の就職活動動向調査(6月)結果報告 【就職活動編】」においても、2027年新卒学生の就職活動における動向や選考プロセスの変化に関する調査結果が報告されています。
このように、選考の効率化やデジタル化が進む一方で、対面とは異なる選考形式に対する就活生の戸惑いと、生成AI作成書類への企業側の困惑という、双方が選考プロセスの変化に対して葛藤を抱えている状況が示されています。
就活生への影響
選考方法を理由とした辞退が54%に上るというデータは、就活生の応募行動や選考対策に直結する大きな影響を及ぼしています。
1. 応募行動における回避と日和見の発生
AI面接や動画選考(録画面接)に対して、「画面に向かって一人で話すことに違和感がある」「面接官の反応が見えず評価基準が分かりにくい」と感じる就活生は少なくありません。その結果、選考プロセスにAI面接や動画選考が含まれている企業をあらかじめ避けたり、エントリーを後回しにしたりする「応募行動の回避や日和見」が発生しています。
しかし、こうした選考手法を採用する企業を全て避けてしまうと、志望する業界や企業の選択肢を自ら狭めてしまうリスクがあります。
2. 必須選考における対策ニーズの拡大
大手企業をはじめ、選考の初期段階でAI面接や動画選考を必須とする企業は堅調に存在します。そのため、避けて通れない選考に対しては「AI特有の評価基準(発話の構成、声のトーン、テンポなど)」や「録画選考の攻略法」に対する強い対策ニーズが生まれています。
従来対面で行われていた視線や表情の作り方とは異なり、レンズを見つめて明瞭に話すスキルや、制限時間内で簡潔に要点を伝える構造化思考の重要性が高まっています。
3. エントリーシートにおける「独自性」の重要度上昇
企業側が生成AIによって作成された典型的なエントリーシート(ES)の確認に疲弊していることから、どこかで見たような定型文や抽象的な表現は一目で見抜かれ、評価を得にくくなっています。
効率化のためにAIツールを活用すること自体は一般的になりつつありますが、最終的には自分自身の具体的な体験談や独自の価値観を組み込むことが不可欠です。自己分析を深めて自分ならではの強みを整理したい場合は、AI自己分析を活用してエピソードの棚卸しを行いましょう。また、説得力のある文章構成を検討する際には志望動機作成AIなどを補助的に取り入れつつ、最後は必ず自身の言葉で推敲して仕上げることが求められます。
行動チェックリスト
選考プロセスの変化に惑わされず、着実に選考を突破するために、今日から確認・実践できる行動チェックリストです。
- 志望企業の選考フローを事前に確認する マイページや選考要項をチェックし、AI面接や動画選考がどの段階で導入されているか把握する。
- 選考形式だけで応募を諦めないスタンスを持つ 54%の学生が辞退を検討する中、適切な対策をして臨むことでライバルと差をつける機会だと捉える。
- カメラに向かって話す録画練習を行う スマートフォンやPCのカメラを使用し、目線・表情・話し方のスピード・声のトーンを客観的にチェックする。
- エントリーシートに実体験と具体性を必ず追加する 文章を作成する際は、単なる定型文にならず、自分しか語れない具体的なエピソードや数字を盛り込む。
- 質問に対する回答構造(結論ファースト)を身につける AI面接や動画選考の制限時間内で簡潔にアピールできるよう、PREP法(結論・理由・具体例・結論)などを意識して結論から話す習慣をつける。
就活生のよくある疑問
Q1. AI面接や動画選考がある企業は避けるべきですか?
A. 選考方法だけを理由に選択肢を狭めることは避けるのが望ましいです。AI面接や動画選考も事前に評価ポイントや特徴を理解し練習を重ねることで十分に対策が可能なため、回避するのではなく攻略法を身につけるスタンスが有効です。
Q2. 企業側も生成AIを使ったエントリーシート作成に気づいているのでしょうか?
A. 企業側も生成AIで作成されたESの対応に疲弊している現状があり、定型的な文章を見抜く意識が高まっています。生成AIを利用する場合でも、自身の具体的な体験や独自の言葉を必ず補完して仕上げることが重要です。
Q3. AI面接や録画選考で評価されるためのポイントは何ですか?
A. 目線や声のトーン、話の構成の明確さが重視されます。対面面接とは異なるカメラ越しのコミュニケーションに慣れるため、事前に録画練習を行い、表情やメリハリのある話し方を意識することが効果的です。