企業分析、お金も時間もかけず”深く”やる方法
企業分析は、ES・面接・OB訪問準備の土台です。ただ、授業やアルバイトと並行しながら何社もの採用ページやIR資料を読むのは大変です。有料ツールにお金をかけにくい就活生も多いでしょう。
そこで使いたいのが、GoogleのNotebookLMです。採用ページやIR資料を読み込ませるだけで、事業内容・強み・課題・求める人物像を整理できます。就活の企業分析なら、全工程を0円で完結できます。
NotebookLMとは?
NotebookLMは、Googleが無料提供するAIリサーチアシスタントです。決定的な違いは、自分がアップロードした資料だけに基づいて回答するソース接地型であること。採用ページやIR資料を根拠に要約・比較・質問回答をしてくれます。
| 比較軸 | ChatGPT | Gemini | NotebookLM |
|---|---|---|---|
| 情報源 | 学習済み知識や入力内容、設定によってはWeb情報 | 学習済み知識やGoogle系サービスとの連携情報 | 自分が追加した資料・URL・PDF |
| ハルシネーションの起きやすさ | 入力が曖昧だと起きる可能性がある | 入力が曖昧だと起きる可能性がある | ソース接地型のため比較的起きにくい |
| 得意な用途 | 文章作成、壁打ち、発想の整理 | 調査補助、文章作成、汎用的な相談 | 資料の要約、根拠付き分析、引用確認 |
| 料金 | 無料版あり。有料プランあり | 無料版あり。有料プランあり | 無料で利用可能 |
就活で必要なのは一次情報に基づいた理解です。NotebookLMはその入り口に向いています。
就活の企業分析にNotebookLMが最適な3つの理由
理由1: 回答に引用元が付くので裏取りできる
回答には引用元が付きます。「成長戦略を3つ教えて」と聞けば、決算説明資料などの該当箇所を確認できます。面接前に裏取りできるため、根拠の薄い志望動機を避けやすくなります。
理由2: 渡した資料の外から答えない
ChatGPTやGeminiに企業名だけを入れると、古い情報や一般論が混ざることがあります。NotebookLMは渡した資料を根拠に答えるため、誤情報を減らしやすいのが強みです。
理由3: 音声概要で”聞く”企業研究ができる
NotebookLMには、資料をポッドキャスト風の対話音声にする音声概要(Audio Overview)機能があります。難しいIR資料も通学中に聞けます。
準備編: 無料で集められる「一次情報ソース」リスト
NotebookLMに入れる資料は、企業自身が公開している一次情報を選びましょう。
- 採用ページ(URL): 新卒採用サイトで入手。職種、仕事内容、求める人物像が分かります。
- 有価証券報告書(PDF): 金融庁の無料データベースEDINETでDL。事業内容、リスク、財務状況が分かります。
- 決算説明資料・中期経営計画(PDF): 企業の「IR情報」ページで入手。業績、成長戦略、重点領域が分かります。
- 統合報告書(PDF): IR情報やサステナビリティページで入手。長期ビジョンや人的資本が分かります。
- 社長・トップメッセージ(URL): 企業サイトで入手。経営者の価値観や方向性が分かります。
- ニュースリリース(URL): 企業サイトのニュース欄で入手。新サービスや提携など直近の動きが分かります。
まず一次情報を押さえ、口コミやSNSは補助的に見ましょう。
実践編: NotebookLM企業分析の5ステップ
ステップ1: 企業ごとにノートブックを作成する
基本は「1社1ノートブック」です。採用ページ、IR資料、有価証券報告書、トップメッセージを1つにまとめると、その企業専用の分析スペースになります。
ステップ2: 集めたソースを投入する
採用ページのURLやPDFを追加します。採用ページ、決算説明資料、有価証券報告書の3つだけでも分析しやすくなります。
ステップ3: 質問テンプレで分析する
以下をそのまま貼り付けて使ってください。回答後は引用元を確認しましょう。
# 目的
追加済みソースに基づいて、この企業の事業構造を就活生向けに整理してください。
# 出力項目
1. 主な事業セグメント
2. 主要な顧客・市場
3. 収益を生み出す仕組み
4. 今後伸ばそうとしている領域
5. 面接で一言で説明する場合の要約
# 目的
追加済みソースに基づいて、この企業の強みと弱みを分析してください。
# 出力項目
1. 競合と比べた強みを3つ
2. 事業上の課題や弱みを3つ
3. それぞれの根拠となる引用元
4. 就活生が志望動機で触れやすいポイント
# 目的
追加済みソースから、この企業の成長戦略とリスクを抽出してください。
# 出力項目
1. 今後の成長戦略を3つ
2. 重点投資領域や注力事業
3. 事業リスク・外部環境リスクを3つ
4. 若手社員に求められそうな役割
# 目的
採用ページ、社員インタビュー、トップメッセージをもとに、この企業が新卒採用で求める人物像を推測してください。
# 出力項目
1. 求められる価値観
2. 求められる行動特性
3. 評価されやすい経験
4. ESや面接でアピールすべき観点
5. 根拠となるソース箇所
# 目的
追加済みソースに基づいて、OB訪問や面接で使える逆質問を作成してください。
# 出力項目
1. 事業戦略に関する逆質問を3つ
2. 若手の成長環境に関する逆質問を3つ
3. 企業文化に関する逆質問を3つ
4. 質問の背景として添えるべき根拠
ステップ4: 音声概要を生成して聞き流す
分析後は音声概要を生成します。通学中に1社分を聞き、帰宅後に引用元を見ながらメモを整えましょう。
ステップ5: 面接直前に最終確認する
面接直前は次の質問で最終確認します。
この企業の直近の重要トピックを3つ、根拠となる引用元付きで整理してください。
面接で話す場合の注意点も添えてください。
直近ニュースが入っていない場合は、必要に応じてニュースリリースも追加しましょう。
応用編: 1業界1ノートブックで競合比較
1社ごとの分析に慣れたら、「1業界1ノートブック」で競合比較をします。志望業界の複数社のIR資料を入れ、比較質問を投げると、「なぜ同業他社ではなくこの会社なのか」を考えやすくなります。
# 目的
追加済みソースに含まれる複数企業を比較し、就活生が志望動機を作るための違いを整理してください。
# 出力項目
1. 各社の主力事業と収益構造の違い
2. 各社が注力している成長領域
3. 競争優位性の違い
4. 新卒採用で求められそうな人物像の違い
5. 「なぜこの会社か」を語るための比較ポイント
ChatGPT・Geminiとの使い分け
NotebookLMは一次情報の整理・事実確認、ChatGPT/Geminiは分析結果を志望動機やESへ昇華する工程に向いています。NotebookLMで根拠を集め、そのメモをもとに文章化する流れが実践的です。
企業研究の情報収集全体はAIで企業研究を自動化!ライバルに差をつける情報収集術も参考になります。社員口コミのようにNotebookLMのソースにしにくいテキストは、AIを活用した企業研究・口コミ分析のやり方|コピペで使えるプロンプト集のようにChatGPTで扱うのが向いています。
業界全体を俯瞰するなら、AIを活用した業界研究のやり方も組み合わせましょう。
NotebookLMを就活で使う際の注意点
ソースに無いことは答えられない
NotebookLMは追加した資料に基づくツールです。最新ニュースや新サービス発表がソースに無ければ回答に反映されません。面接前は必要なページを追加しましょう。
個人情報・機密資料はアップロードしない
OB訪問で聞いた話、選考中の配布資料、個人情報はアップロードしないでください。基本は一般公開資料だけを使いましょう。
出力は必ず引用で裏取りする
面接で話す内容は、必ず一次情報の該当箇所を開き、表現や数字を確認してください。引用元を見て自分の言葉に変換することが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q. 本当に無料で使えますか?
Googleアカウントがあれば無料で使えます。採用ページやIR資料の要約・質問回答・音声概要なら、就活用途は無料版で十分です。
Q. スマホでも使えますか?
アプリ/ブラウザで利用できます。音声概要は、通学中や移動中の聞き流しと相性が良いです。
Q. Geminiとは何が違うのですか?
Geminiは汎用対話AI、NotebookLMは渡した資料専門のリサーチAIです。企業分析では、NotebookLMで事実整理、Geminiで文章化と分けましょう。
Q. 1つのノートブックに何個まで資料を入れられますか?
無料版でも数十件のソースに対応しているため、1社の企業分析には十分です。
企業分析を「志望動機」に昇華させるために
NotebookLMで企業の強みや求める人物像は整理できます。しかし、それだけでは志望動機にはなりません。大切なのは、企業の強みや価値観と、自分自身の価値観がどこで重なるのかを語ることです。
自分の価値観や就活の軸は、自己分析バリューマップで言語化しておきましょう。
まとめ
NotebookLMを使えば、採用ページやIR資料から、企業分析の情報収集・整理・確認を0円で効率化できます。引用元で裏取りし、音声概要で通学中にも復習できます。浮いた時間は、自己分析や面接練習に使いましょう。